2006-07 UEFAチャンピオンズリーグ 2(予選第3回戦第2試合)
昨夜は2006-07 UEFAチャンピオンズリーグ(予選第3回戦第2試合)を観戦した。
試合開始は20:30からと遅い感もあるが、夏場の欧州は陽が長い。とは言え、夏至から2ヵ月も経つと試合開始頃は薄暗くなる。会場である通称ナチオナル・スタジアムは、ナチオナル2000というチームの本拠地であるのだが、ステアウア・ブクレシュティのホームスタヂアムであるゲンチェア・スタジアムが今月まで改修中なのでその代替会場として使用されている。反面、収容観客数はブカレストで最も多いので、このような国際試合にはホームゲームとしても都合が良い面もある。本日の新聞報道によると45000人の観衆を集めたとのことだ。因にテレビのニュースでは55000人と報道されていた。そのうち殆が地元チームの応援である。はるばるベルギーから来た、もしくはルーマニアに暮らすベルギー人で構成されたであろうスタンダール・リージェのサポーターは、200人程度が四方保安員もしくは壁によって囲まれており、その声援はほぼ全てが掻き消されて聞えてこなかった。
上の写真は使用済みの観戦チケットである。キャプションには便宜上入鋏済みと記したのだが、見ての通り両の手で千切ることで入場が許可される。小生のチケットは入場の際に特別にお願いしたので写真の通りに2枚にならずに済んだ。スタジアムに入るまでに3度の検問がある。
最後のそれは観戦チケットの改札であるが、同時に身体検査も行われる。改札前の初めと2度目は観戦チケットの提示と身体検査であるが、それは保安の観点からの実施だ。携帯が認められない危険品とみなされるものが当然ながらその対象になりうる。初めの検問では所持品検査が行われる。没収までに及ばないが、権利放棄を迫られ実行した観客が残したペットボトルやライターが検問付近に積み上げられている。地面に散らかっていると表現しても良い。それらは、その場で飲み干した空のペットボトルばかりではなく、開封未開封問わずにまだ残っているものが多数。因にそこに転がる殆どのペットボトルは1.5ℓもしくは2ℓサイズである。どうしても持ち込みしたい観客はペットボトルの上部を切断して筒状に工作して携帯を認めてもらっている。ここでお気づきと思うが、この切断には刃物が用いられる。彼等はカッターナイフを利用したのだが、これは彼等のものである。決して保安要員のものではない。先日のロンドン・ヒースロー空港の騒ぎを思い列に並んだ小生は、この矛盾に微笑んでしまった。ルーマニアらしいからだ。
ペットボトルは中を満たし栓をすることで悪意を持つと武器に変身する。内容が飲料であってもその重量を以って凶器になる。1ℓ入りのペットボトルを投げつけると1kgの鉄アレイの代用になりうるということだ。2つ目の検問は初回の検問から20mほど先にあったが、この時点で栓付ペットボトルは皆無になっている。観戦チケットの提示と初回同様に衣類の上からの身体検査が行われる。そして最後の検問が観戦チケットの改札と身体検査。この列は一列ではなく、例えるならば検問ゲートを要とした扇状。
ここでは、千切られた観戦チケットの左側と少数のライターが地面を覆っている。そしてコインがいくつも落ちていたのが印象的だった。ルーマニアでお金が落ちていることは滅多に出会えない。落とす人はいるであろうが、すぐに気付いた人が回収するからであるからだと思う。
試合内容には多く触れないが、小生の贔屓するステアウア・ブクレシュティは前半2分に先制を許すも逆転勝ち(2-1)で1996‐97シーズン以来10年ぶりのUEFAチャンピオンリーグのグループリーグ(32強)へ駒を進めたことになる。記憶が確かならルーマニア勢としてもそれ以来のグループリーグ参戦である。熱狂的な応援に囲まれての観戦は小生自身鼓舞された。それは典型的な欧州のサッカー応援スタイルといえよう。だが決してお行儀の良いものではない。併しファンも戦っているのだ。野暮なことは言わないでおこう。そして一夜明けた今日24日のルーマニア時間19:00からグループリーグの組み合わせ抽選会がモナコ・モンテカルロで行われた。小生も1998年春に訪問したことがあるオウデトリウムという国際会議場である。因にこのオウデトリウムの真下がF-1モナコグランプリのトンネル部分にあたる。小生はモナコグランプリのコースを逆に歩いてトンネルの「出口」から入り、トンネル内にある入場口へ向かったことがある。この組み合わせ抽選会をルーマニアの民放テレビ局PRO TVでは、ニュース番組を特別編成行い、生中継でこの抽選会を放映していた。ステアウア・ブクレシュティのオーナーであるジジ・ベカリー氏とも同時中継で結ぶ手の入れようだ。余談だが、ジジ・ベカリー氏は大変な資産家でもあるが、氏の評判は芳しくない。「羊飼い」のニックネームで揶揄される彼は土地成金であるとは、何人ものルーマニア人が話してくれた。察するにやっかみであるのだろう。小生は氏の所有するメルセデス社のマイバッハという高級車を見かけたことがある。携帯電話片手の氏は後部座席に居らず、なんと片手でステアリングを握っていた。「運転手」がいないのである。今朝のテレビニュースでスタジアムを後にしようとする車からの氏のインタビューでも彼は運転席にいた。「高級車中の高級車なので、運転手の成り手がいないのかもしれない」とはルーマニア人知人の言葉。小生は氏とレストランで鉢合わせたこともある。握手を交わして少し談笑しただけだが、氏の手の厚さと温かさは、農民のそれに似てごつごつしており意外であった。
さて、グループリーグの組み分け抽選会であるが、ステアウア・ブクレシュティはE組に編入された。同組には銀河系軍団として世界中に知られたレアル・マドリー、フランスリーグ5連覇中の名門オリンピック・リヨン、隣国ウクライナのディナモ・キエフの3チーム。レアル・マドリーがブカレストに来て本気で試合をする。これは楽しみだ。手元に観戦チケットはまだ無いが、ジダンが引退してもロナウド、ロベルト・カルロス、ベッカムそして、本年のFIFAワールドカップ優勝イタリアチームの主将を務めたカンナヴァーロ等の有名選手を間近に世界一流のプレーを観戦できる機会が出来ると思うと本当に楽しみである。ステアウア・ブクレシュティはこの組で次へ進出なるのか。乞うご期待。
参考サイト
UEFA(欧州サッカー協会連合) http://jp.uefa.com/
PRO TV http://www.protv.ro/
LIBER TATEA http://www.libertatea.ro/
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