師走の秋刀魚
この夜は焼き魚を夕食の献立に選んだ。秋刀魚である。
この秋、日本から秋刀魚に関するニュースをいくつか憶えている。「豊漁である」「三陸沖で秋刀魚漁の漁船が遭難」「北海道の海岸に秋刀魚が大量に打ち上げられた」。この3つだけであるが、その都度、焼いた秋刀魚の臭いを思い出したものである。
先月ティミショアラで世話になった、JICA青年海外協力隊員としてティミショアラ西大学で日本語を教えている杉野先生が、今月ブカレストにいらっしゃた折に話を伺うと「昨夜、同僚と秋刀魚を焼いて食べた」とのこと。「酒には目もくれず、みな炊いたご飯と秋刀魚を掻き込んでいた」とのこと。同僚の居所の近くに秋刀魚が売っているという。早速、その同僚隊員を紹介してもらい、その場所を訊くと、知っている市場であった。小生の普段の生活エリアからは離れている。その週は忙しくついに秋刀魚にはありつけなかったのであるが、一昨日その方と会う機会があり、失礼ながらお持ちいただいたのである。
小生宅は、調理に関しての換気が万全でない。構造上臭いが篭るので、肉を焼くこともそう多くない。換気の方法は窓と扉を開けるという原始的な方法であるが、暖冬といえども外気は冷たい。従ってフライパンを使った料理は二の足を踏むのである。賢明な読者諸氏はすでにお気付きのこと思うが、魚を焼く為の機器を所持していないのである。せめてスライスしたパンを焼く程度のオーヴンがあれば良いのだが、それもない。そもそも焼き魚を自宅で手掛けるとは思いもよらなかったのである。
2尾の秋刀魚はそれぞれが頭から尾までが35cm程度なので、フライパンには収まらない。頭部を落としてようやく収まった。フライパンに薄くオリーブオイルを塗りそのまま秋刀魚を並べて蓋をする。手軽というか、無知というか、とにかく焼き魚として食べれるようになれば、良いのである。この間、美味しそうは臭いが部屋に充満する一方、煙がひどく窓を開放せざるを得なかった。
焼きあがった秋刀魚はまあまあの出来。杉野先生の言うように白飯が進む。2尾とお茶碗3杯でお腹一杯。
醤油はふんだんに使ったのであるが、大根おろしはなし。生姜をすって代用したが、タカジアスターゼを摂取したかったと後悔した。大根は当地でも手に入るからだ。次からは「目黒の秋刀魚」ならぬ「ブカレストの秋刀魚」をめざしたい。
日本に帰國した折には、毎日魚を食べるのだが、秋刀魚の季節には暫く帰っていないな。
Labels: ブカレストの日常
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